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共生のリテラシー ―環境の哲学と倫理―
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『共生のリテラシー ―環境の哲学と倫理―』
加藤尚武 編

定価(本体1,500円+税) A5判、226頁
ISBN978-4-925085-37-3 C1012
(2001年3月第1刷発行) (2007年9月第4刷発行)

《目 次》
序    環境倫理学とは何か
第1部 自然の根元的意味
  1 修験道と日本の自然観
  2 自然哲学の理念とアニミズム
  3 環境と人間―われわれはどのような世界に住まうのか
  4 BT革命と人間の未来

第2部 近代思想と環境問題
  5 責務と合意―将来の世代に権利は認められるか
  6 カント的な自由主義と地球環境の倫理
  7 近代の平等観―社会的な公正はいかに実現されるべきか
  8 救命艇倫理と共有地の悲劇―早い者勝ちは許されるか

第3部 環境問題と正義
   9 配分における正義と倫理
  10 利潤追求の使命―企業の利潤追求にも倫理はあるか
  11 エスノセントリズムとマルチカルチュラリズム―文化的多様性にいかにしてつきあうか
  12 普遍主義と文脈主義・再論
終 章 21世紀に生きる人間の使命

地球温暖化、オゾン層破壊、砂漠化、森林破壊、資源枯渇、人口爆発など「環境問題」は個々の領域の問題が複雑に絡み合ったまま20世紀から引き継がれた、全人類にとって存亡を賭けた文明史的な問題である。遅まきながらも確かに、次世代エネルギーの開発など「環境にやさしい」技術の開発が進められてきてはいる。しかし、技術的な対処だけでは問題はけっして解決されることはない。むしろ文明のあり方そのものが根底から問われていることを忘れてはならない。本書は、環境問題を引き起こすに到った私たちの生き方に、哲学・倫理学の立場から「自然」「権利・平等という思想」「正義」をテーマにして反省と分析を加え「共生」という新たな絆となる思想を織りだそうとする試みである。編者による「環境倫理学」の総括とともに「21世紀に生きる人間の使命」が次世代へ向けて訴えられる。大学でのテキストとしても好適の書である。