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「家族」と「個人」の相克 ─平等再考─
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『「家族」と「個人」の相克 ─平等再考─』
樋口晟子 著

定価(本体3,000円+税) A5判、300頁
ISBN978-4-925085-33-5 C1036
(2000年11月第1刷発行) (2001年10月第2刷発行)

《目 次》
第一部 男女平等とは何か
  第一章 男女平等の問題点
  第二章 女子差別撤廃条約とフェミニズムイデオロギー
  第三章 市民運動とフェミニズム
  第四章 個人と家族と平等

第二部 性別役割分業とは何か
  第五章 性別分業と家族
  第六章 家父長制の再発見

第三部 家事労働とは何か
  第七章 二種類の生産と家事労働
  第八章 賃労働と家事労働
  第九章 家事労働の無償性
  第十章 労働力の生産と家事労働

第四部 家族とは何か
  第十一章 家族の諸側面
  第十二章 高齢社会の中の家族と女性

第五部 個人の尊厳とは何か
  第十三章 マリ=クレール裁判の意味するもの―フランスにおける妊娠中絶裁判をめぐって―
  第十四章 家族の機能と生命の倫理

この本の主題は、家族との関わりの中で男女の平等とは何かを問うことにある。女性は、家庭では、主婦と母親の二つの役割をもち、外で働く場合には一人三役の役割を担うこととなる。家庭内の女性の仕事は、外で富を生み出す生産活動に対する私的な奉仕活動となり、一段と低い位置に位置づけられるに至った。これに対し、様々な観点から主婦論争が展開されているが、それらに対して著者は疑問を抱く。性的役割分業、家事労働といった家族の中の男女の平等のありようを辿ったその先に生ずるのが個人の尊厳という問題である。全てが同じであることによる平等ではなく、個々人の尊厳を守ることにおいて平等であることが求められなければならない、と著者は語る。ジェンダー問題に関心をもつ人々にとって必読の書。